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ひと足早い夏色の海で、アオリイカを追いかけて

暦が急ぎ足で進んでいる。最高気温が30度を超える日もちらほらと現れ、肌を焦がす日差しの強さに、季節の変わり目を実感する今日この頃だ。

先日、そんな初夏の陽気に誘われるようにして、趣味のエギング(イカ釣り)を愉しむべく薩摩半島の南端、指宿方面へと車を走らせた。

目的地に到着すると、待っていたのは言葉通りの「快晴」。昼間の炎天下は立っているだけでもじっとりと汗がにじむほどの暑さで、周囲の景色はすっかり夏の装いを見せていた。ふと目をやると、地元の高校生たちが上半身裸で颯爽と自転車を漕ぎ抜けていく。そればかりか、眩しい光が照らす海へと飛び込み、気持ちよさそうに泳いでいる姿までもが目に飛び込んできた。

「少し、気が早すぎるんじゃないか?」

そんな風に苦笑しつつも、彼らの無邪気な躍動感に、どこか懐かしい「日本の正しい夏」の始まりを予感させられて胸が躍る。

 

涼を求める少年たちを横目に、こちらは防波堤からラインを投げ入れる。狙うは春の大型アオリイカだ。 昼下がりから竿を振り、エギ(餌木)を躍らせる。シャクってはフォールさせ、イカが抱きつく繊細なアタリを待つ。じりじりと照りつける太陽がようやく傾き、海面が黄金色に染まるドラマチックな夕暮れ時まで、諦めずに粘り強くキャストを繰り返した。

……しかし、自然はそう簡単には微笑んでくれない。 この日の海は静まり返ったままで、ついに愛おしいイカの引きを味わうことはできなかった。

釣果としては手痛い「ボウズ」である。それでも、帰路につく車中で不思議と悔しさはなかった。潮の香りと、心地よい腕の疲労感。そして何より、あの少年たちの眩しい笑顔と、ひと足早く肌で感じた夏の気配が、充実した休日の余韻として心を満たしてくれていたからだ。

次はどんなドラマが待っているだろうか。道具の手入れをしながら、本格的な夏の到来を今から心待ちにしている。

ひと足早い夏色の海で、アオリイカを追いかけて